Eno.543 八雲 渡

漂流日記 壱 終

水滴で文字が滲んでいる

「う、ぅ゛……」

胸が苦しい。改めて文字に起こすと現実だと思い知らされるようで……

「憶えてる分は諦めるけど…うう゛…」

貴重な書物が、魔術道具が、冷たい水底で朽ちていく。
僕が何をしたというのだ。否、何かやらかしていたとしてもあまりにもあまりな仕打ちだ。これだから神は信じられない。

「引き上げてやる、欠片でも良いんだ。回収してやる…!!」

無意識の間に齧っていたらしい。親指の爪がまる〜くなってしまった。