Eno.14 神崎 考希

神崎の手記(起きたら謎の島だった)

日記みたいなモノは今まで三日坊主で全て頓挫していたけど、
流石に起きた出来事が大きいので何が起きたのかを書き残す事にした。

フィールドワークと称して色々な地へ遊びに行った結果
起きたら無人島に着いていた。
道中何があったのかあまり覚えていないが浮かれていた事は確かだ。

正直最初は「あ、終わったわ」と悲観していたが、
時同じくして流れ着いた人達も多かった。
多分、周りの雰囲気が明るかった事に俺は救われたんだと思う。
ここでやれる事はやってやろうと考えられるほどには俺も前向きになれたから。

流れ着いた人達は様々で、なんかコスプレをしている人や
精巧な特殊メイクをしている人も居た。
多分、そういう趣味の人達が旅行中にここに流れ着いたんだと思う。
楽しい行事の最中に漂流した彼らの事を思うと少々やるせない気持ちになる。

幸いにも俺には知識という武器があった。
狩りや漁は経験がない所か、多分役に立たないから危なかった。
魚獲ってこいとか言われても貝を集めるのがギリだと思う。

そんな中、俺は一つの才能に気が付く事が出来た。
『アヒルのおもちゃ』を見つけることだ。
先輩方がこの島に居なくて良かった。確実にぶん殴られる才能だ。
だが、島に居るみんなはそんな成果とも言えない成果を笑って迎えてくれた。
正直、ちょっと嬉しかった。
でも、そのせいでアヒル少佐という不名誉極まりない二つ名を頂戴する事になった。
しかも焼きイカを振る舞った男性に名付けられ、
恩を仇で返すとはこの事だろうと思った。

夜になった。
周りは眠りにつく中、俺にも少しは不安や焦りみたいなモノがあったのか、
寝付けなかったので作業に没頭していた。
物を作っている間はこの状況を少しは忘れられたから。

ちょうど松明が完成したぐらいの頃、
王子と名乗る男性と、全盲の少女が二つ名で俺を呼んだ。
俺は別にその名を気に入っている訳では無かったが、
その二人は本当に嬉しそうに、楽しそうに接してくれた。

そんな様子を見たからなのかは分からないが、
不安も少し和らいで、ホッとする気持ちを覚えた。
誰かが傍で笑ってくれるだけでこんなにも心強いとは……

眠れないと思っていたが、今は少し安心したのか眠気を感じる。
本当に一人じゃなくて良かった。