Eno.101 アストラペの黄金駆動

調査隊の報告書:『DJストラ』について その6

ジーランティスの海では怪物に襲われること自体は珍しくはありませんが、
当時現れたそれは、記録的なほどに強大なものでした。
姿からして、クラーケンの一種だと考えています。

不安定で危険な環境ですから、調査船も武装しています。
しかし本格的な戦闘艦と比べて兵装は簡易的なものなので、怪物の撃退には至りませんでした。

その時です。
ストラさんは船を飛び出し、単身で果敢に怪物へ立ち向かっていきました。
まさに稲妻の如き速さ。ストラさんの援護のおかげで我々の調査船は、怪物との距離を引き離せそうでした。

しかし船がこのまま離脱すれば、ストラさんを置き去りにしてしまいます。
激しくなる雨の中、ストラさんは『自分にかまわずに行け』というサインを出しました。

私は躊躇いましたが、船員からも逃げることを提言され、私はやむを得ず舵を取りました。
実際にストラさんを救出するチャンスを作れるだけの弾薬も勝機も、我々にはなかったんです。

……最初に出会ったあの時の奇跡。
私はただそれだけを、信じるしかありませんでした。

あの人は生きているのか、元気に過ごしているのか。今でも心配です。

ジーランティス調査隊第X分隊長 リリル・セイル