Eno.635 シュリ

皇女の懐剣

刃物として使うのは代理機士たる己の喉を突く時しかないはずだった。
それが今、木を削り、布を裂き、獲物を捌いている。

名誉の自決のための最期の武器。
あるいは機竜兵《モーンガータ》起動キー。
所持者か他者か、いずれにしても数多の命を奪ってきたものを、
こうして命を繋ぐために使っているというのは皮肉なものだ。