Eno.319 ニシュプニケ

...雨の中...



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「──もしもし、やあ。酷い雨だね。こんな日は花壇が気になってしまうんだ」

はどう?」


そうね、昔は確かにそうだったわ。
彼女と作り上げる花壇は楽しかったし、あの頃の僕に大切なのは花ひとつだったもの。
ねぇ、ここの森にもそれは咲いているのかしら。

今気になってしまうのは、私の夢の事よ。
ああ、そう、アヒルだなんて呼ぶの。




「ああ、は今も随分、幻に逃げてしまっているね」

「何も見えない暗闇なら、僕は君を作り上げられると思ったんだけどなぁ」


私に大切なのはきっと、ずっと、そこに存在しない現実なのだわ。
だからね、もう、言われるがままを、都合の良い様を。
歪めて。楽しく。思うまま。

私、信じていようと思うのよ。


「“ニシュプニケ無い音”だけがきこえるわ」


ほら、今も。外は幸せの音。


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