Eno.704 アスエリオ

アスエリオの手記9

大きな桟橋がかかった
なので離島へ行ってみた
色々なものが拾えたけれど怪我をした
迂闊だったかも

体力には自信があった。
“チーム”では
ジェミニとクロードに続く武闘派だ
痛いのにも慣れている なのに

あぁ、異能が使えないと私、
やっぱり弱いのかな

人間ならば怪我して痛くて
動けないのは当たり前
私はそれを忘れていただけ?
人間とはそういうものだよ、ね

しばらく無理はしないで休もう
こんな島で死にたくはないから、ね



私 弱いのかな

  ◇

ジェミニが死んだのはとある作戦
ジェミニは自分の体力を消費して
強力な剣技を放っていた
その剣はジェミニしか使えない

大きな敵が来た
私も姉さんもデイズもティアリーも
頑張ったけれど追い返せない

空が曇ったから
デイズの影の力も使えない
ティアリーは異能の代償で眠った
そんな中で

「ここは俺が何とかするから!
みんなは拠点に戻ってろ!」

背中を見せて、ジェミニが吼えて

「俺は必ず、帰ってくるから」

なんて
信じてたのに、あなたはどうして

空が晴れて、
デイズの力が使えるようになって
それでも心配で見に来たら

そこには敵と相討ったような
ジェミニの物言わぬ骸が転がっていて
光を失った緑の瞳が、空を見上げていた

信じてたのに
ジェミニは強いから死なないって
処分されるようなヘマはしないって

もしもあの時に空が晴れていたのなら
デイズの影縛りは間に合ったのかな

デイズは後悔しているみたい
でも天気なんてどうしようもないし

あの後は姉さんが代わりに
“チーム”のリーダーになった
姉さんは変わらずいつもみたいに元気
私もいつもみたいに無表情

ティアリーとデイズは
目に見えて落ち込んでいた

私たちの中の“絶対”が崩れた
あの日のことは、忘れない

ジェミニ・オルタナティヴ
いかにもな偽名
結局私たちは、あなたのことを知らぬまま