Eno.232 伊藤看良

無人島メモ6

おふろができた。
よすぎる。文明だ。
人間性と体調がもりもり回復していく。
影宮たち料理強者が作ったおいしいもので精神も回復していく。
無敵かもしれん。

一応俺も貰うばかりじゃなく働いた。多分……。
でっかい蒸留器つくったり、トリ捌いたり。


記憶のそれは木樽だった。ここではドラム缶で代用。
川の生水をああやって安全にしたらしい。
調子良く蒸留できてるようなので一安心。
カニさんペイントの加護かな?

鳥の捌き方は、いわゆる生贄というやつ。
ちょっとビジュアルがアレなので拠点の裏でササッと済ませておいた。
もっと綺麗な捌き方がありそうだけど俺は鳥をシメたことなんてない。
とりあえず記憶の手順通りにやった。


時々役に立つ仕入れた覚えのない知識は、山神が見てきた人の営みだろう。
あれの種子しゅうじを情景として垣間見たのは今回が初めてだ。
手懐けてもうすぐ一年半になるが未だに真名も知らない。

一時的に分離されることで、連結された面が分かりやすくなっているのかもしれない。
獣肉と酒を供えられていた記憶。
山神や土地神の類であるのは異界と核の調査から分かっていたが。
実際に、あの山にも人と暮らしていた頃があったんだ。


そんな俺の話はおいといて。

さっきは轟に真水をあげてみた。
正気には戻らなかった。

いや……本当は分かってる。
多分あれは現実逃避とかじゃなくて海が近い異界(?)に居るせい。
俺は反応が見たくてちょっかいを出してるだけ……。
シンプルにあのテンションできちんと飯食ってるか心配なのもある。

あいつ、誕生日に海見に行ってもあのテンションになるのかな。
冬の海で……


水に入らないように俺が止めなきゃ……。