Eno.70 佐々木 真名

(01)

いつの間にか、見知らぬ島にいた。

……憂鬱。
私が知ってる言葉だと、それが今の気分に一番近い。なんか違う気もするけど。

いつも通り学校に向かっていた筈だった。鞄も制服もそのままだから、それは合ってる、と思う。一瞬、もしかしたら時間が巻き戻っていたりしないか、とも思った――けれど、制服からはまだ微かに焼香の臭いがして。それは確かに私が『あそこ』にいた証拠だった。……島に流される?ついでに、いっそ記憶もなくなっちゃってた方がよかったかなあ、なんて思った。

それは仕方ないことだった。
とても仕方ないことだった。

『ちょっと他人より早かっただけの、ありふれたこと』。何回も何回も、そう自分に言い聞かせている。

それでもまだ、思い出す度頬を伝うものは、見知らぬ海を大きくしていく。それを蹴散らすように便箋を開いて、震える目で文字をゆっくりと読む。取り敢えず探索をしなきゃなのかな、と本能的に察したけれど。

なんで? 生きるって、なんだろ?

ふと湧いて出たそんな問いも、今の私にはよく分からない。

何だかもどかしくて、キュ、と口を結ぶ。
心模様とは裏腹に、写真でしか見たことの無いような景色が……少し腹立たしかった。