Eno.645 ヴィクトル・トート

報告6(現在地について)

No.14から本部。

今更ながら、現在地でもある転送先の状況をまとめる。
……ま、どうせ送れないんだから、帰った時に報告書を書く為のものだけど。

ここは無人島。季節は夏。かなり日差しもキツいし、暑い。
そんなに大きな島じゃない。小さいわけでもないけど。
少なくともそれなりの規模の森がある。というか、それがほぼメイン。
川や湧き水は今のところ見かけない。島の規模的に、ないのかもしれない。
でも、結構野生動物はいる。こっちがそれなりの人数だからか、襲ってきたりはしない。それならそれで捕まえる手間が省けていいんだけど。
詳しいことは、最初に見つけたボトルメールに書いてあるから、それを添付する。

ここは特殊な世界らしい。見たことのないものも、見たことのあるものもどちらもある。
どうやら、他にもいろんな異世界と繋がって、流れてくるらしい。
ここにいる他の人間もそうだ。それぞれ流されてここに来たみたいなことを言っていた。
ただ、不思議なことにやたら日本人が多い。
それもどうやら、元々知り合いの奴らも少なくないらしい。
繋がる先がある程度限定されるのだろうか?
僕たちの世界とも、おそらくそう違わない。
もしかしたら、同じ世界かもしれないくらいには。
もちろん、"向こう側"である可能性も捨てきれないけれど。
少なくとも、外見や常識が全く違うということはないみたいだ。
食べる物も同じ。話も通じる。一応協力も出来ている。
だからまぁ、生活の上で困っていることは、今のところはない。


「……こんなものかな。とりあえず」


どうせ送れないのに、時折暇な時間があるものだから、ついつい記録ばかり溜めてしまう。
まあ、起きたことをこまめに書いておけば、後々何か役に立つかもしれないし。
役に立たなくても、この恐ろしいほどの退屈を紛らわせられるのであれば、なんだって構わないのだ。