Eno.275 君影 早霧

2日目 岩場


どこでもよかった。
雨上がりであちこちに水溜りのできた森でも、
サメが泳ぎ回り波で服が濡れてしまう岩場でも。

今は少しだけ、拠点みんなから離れていたかった。
態度も表情も取り繕わなくていい時間が欲しかった。

こんなところで死ぬ気はないし、心配だってかけたくない。
どちらも本心だけれど、疲れている大丈夫じゃないのも本当だった。

でも、上矢も星名ちゃんも、他の皆だって疲れている。
隠しているだけで、するしかないからしているだけで皆がどこか無理をしている。
元気そうな人たちはすすんで変なキノコを食べてて普通に怖い。

そんな状態で、一体誰に助けを求めろって言うんだろう。
皆にこそ助けが必要なのに、どうして私だけ助けてなんて言えるだろう。

……ただでさえ、ひどく勇気がいることなのに。
士気を下げるだけの本心なんて、隠した方がきっといい。