Eno.593 モンタニエ 紫之

漂流2日目

臨海学校だったはずが
突然の津波に流されて無人島にたどり着いたのがおととい。

初日である昨日は記録を付ける余裕は無くて
何も残していない。
だから今日は昨日の分も合わせて残しておきたい。
もしかしたら、これがわたしがいた事を証明する最後の記録になるかもしれないから。









そう思ってた時期がわたしにもありましたねえ。


いや、ハテコーのみんな凄すぎない?
なんかもう……ピラミッドとか建ててるし。
文明開化がどうこう言ってたけどその次元の話どころじゃないよね。
道路まで敷設してる始末……。
思ったのは、日曜ゴールデンタイムの某番組。

特定分野に強い人たちが集まると、こう(文明開化)なるんだなって思った。
もう森に至ってはアスレチックパークと化してるし。
御伽屋くん、きみの事だよ?

設備は主に大羽さんがその手腕を発揮している。
余分な機能を付けてしまうのはそういう性(さが)なんだろうね。
技術者の暗黒面みたいなものを見せられている気がするよ。
インフラをみんなで協力して維持できているしこのまま何事も無く脱出できそうだ。

食糧はみんなで確保したものを鍋島くんが調理している。
彼の料理は工夫が凝らされてて、娯楽の少ない無人島において癒しになってると思う。
美味しいは正義なんだよ。
大雑把にはこんなところかな。

そういえばフランスの家庭料理を作ってみたんだけど
何森くんが美味しいって喜んでくれた。
うちの料理長(鍋島くん)には及ばないけど作った甲斐はあった。
やっぱり誰かが喜ぶ姿を見るのは嬉しいよ。

でも、やっぱり怖い。
ちょっとした事で失敗してみんなにがっかりされて。
そんな事する人たちじゃないのは分かってても
その想像をいつもしてしまう、わたし

何とか誤魔化そうと良い人ぶる、わたし

誰かの為に─ではなく、わたしの為に動くわたし
浅ましいわたしを知られるのが何よりも怖い。
きっと無事に戻って来られたらこの日記は処分してしまおう。
こんなわたしは知られてはならない。絶対に。