Eno.645 ヴィクトル・トート

報告7

No.14から本部。

そういえばもうひとつ、書いておくべきことがあった。
ヨナのやつ、ここでは刃物に化けることが出来ない。
おかげで荷物持ち以外には何も役に立たない。
たまに枕になるくらいしか能がない。ただの毛玉だ。

『そこまで言うか』


どうやら能力を低下させる何らかの働きがあるらしい。
僕もいつもよりずっと疲れるし、体調が悪くなったりする。
怪我をしたら治りにくいかもしれない。
血を補充出来ないだろうから、気をつけてはいる。
まあ、少々の怪我なら僕は平気だけど。

それはともかく、刃物だ。
幸い小さいナイフを持っていたからいいけど、やっぱりどうもしっくり来ない。
別に何と戦うわけでもないけど、出来ればそれなりのものを持っていたい。
ヨナが使えないのなら、この際なんとかして、自力で作るしかないだろう。

『マジで作るのかよ、刃物を』

「出来なくはなさそうだし。何かと役には立ちそうだしな」

『えー……おれというものがありながら』

「寝言は寝て言え、毛玉枕。今のお前なんかただの動く焚き火だ」

『比喩的な悪口。それはそれで刺さる』