アスエリオの手記14
実はこっそり素材集めて荷車作ってた
私の世界の戦神の名前をつけた
渾身の工作をしたと思う
これでもっと物が運べる
ラーメンやサンドイッチも作った
みんな喜んでくれたかな
私が食べたかっただけもあるかも
魔局ではそんなもの食べたことなかったし
満たされた
幸せだな、今の私は
さぁ、次はもっと身体を使って働こう
私は“ジェミニ”の中では
武闘派なのだから
私も、私なりに、出来ることを
ちょっとだけ「楽しいな」なんて
封じた心の奥が、揺れる
こんな島でなら、笑ってもいいかな
忘れていた感情を、
思い出してみようか
──“笑う”って、
どうやるんだっけ?
“ボク”が“私”だった頃は
普通に笑えていたはずなのに
◇
なんて、思ってたんだけれど
笑えた 笑えたな
私の作ったぬいぐるみ
喜んでもらえて嬉しかった
素敵な写真まで撮ってもらった
私、また、笑えたよ
ジェミニが死んでから
私の中の“絶対”が崩れてから
笑えなくなっていたはずなのに
本当は、普通に笑っていたかったのかも
些細な喜びで、笑えたよ
◇
“解き放たれし災厄”
“魔局の最終兵器” なんて
いつしか私は呼ばれるようになった
アンディルーヴ魔法研究局、通称“魔局”
女王の認めぬ非合法組織
私と姉さんはそこの純粋培養で
生粋の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎でした
姉さんの異能は強力だけれど
発動中は何にも出来ず
必ず、護衛が要る
対して、

「…………」
特別な銃に魔力の弾丸を込めて、
誰かの命を奪うが私の仕事
弾丸の種類は臨機応変
私の中から精製される
込める力を変えればそれは、
何だって出来る魔弾となった
それを操るこの私は、
死神にでも見えたのだろうか
後ろで大規模魔術の準備をしている
姉さんよりも
体術で華麗に攻撃をかわしながら
魔弾を放つ私の方が、怖いよね
私は災厄なんだって
人を殺すのにも慣れてしまった
アスエリオは災厄なんだって
もしもここから出られても
貼られたレッテルは消えないのだろうか
魔局の災厄 それが私
なりたくてなった訳じゃないのに