Eno.14 神崎 考希

神崎の手記(正しいだけが全てではない)

離島の舗装を終えた。
次の道路作りは岩場にしようかと思っていたが、
砂浜が良いという現場の声があったのでそちらを優先する事にした。
どう考えても拠点に居てばかりの俺より、みんなの方がその辺りは詳しいだろう。

雨の気配もない夜、ニシュは外に探索へ行きたいと言った。
恐らく一番正しいのはそれを否定して拠点に居て貰う事だろう。
次に考えられるのは付いて行って安全を確保する事だろう。
でも、俺は彼女を一人で行かせた。
この判断を責める者も少なくないだろうが、
正しい選択は時に人を傷つけると俺は思う。

ニシュは“白杖を持っているんだ”
あれは目の見えない人が一人で立って歩き、時には掲げる事で助けを求めるモノだ。
俺は彼女の事をまだ全然知らないが、
少なくとも努力をしないとあれだけ自由に歩く事は出来ない。
彼女の努力を否定したくはない。

少し前、怪我をしてしばらく安静にするよう言われていた
……ロンとアマハル(名前を聞き間違えている場合もある)は
みんなと共に探索へ参加出来ない事に悔しそうな表情を見せていた。
俺にもその気持ちはわかる。
拠点外での作業を満足にこなせなかった時にそれを感じた。
まるで、一旦蚊帳の外へと追いやられたようなあの感覚。
それを知っているからニシュに一人で外に出歩くなとは言いたくなかった。

怪我をする事も俺たちより多いかもしれないが、
俺たちだって気を付けていても怪我をする時は怪我をする。
彼女の方が格段にその危険が高いのは間違いないが、
俺はニシュの努力もみんなの努力を否定したくない。

持たせた火は離島へ向かって行った。
帰りが遅いと感じたら離島へ急ごう。
でも、今の俺に出来るのは信じてあげる事だと思った。