Eno.21 御伽屋 紺

おとぎばなし 積み重ねの魔法

 
御伽屋 紺は眠らない

眠ったふりでまぶたを閉じ、
皆が寝静まってから起き出して、
人が起きる前に寝床へ戻る。

「……大羽さんの言う通り
 奇跡のように見える事象でもそれは一つ一つの過程の積み重ねだ」


「僕の手品もそう。
 皆が寝てる間にタネを仕込んでるだけ。
 本物の魔法とはほど遠いものだ」


「それならむしろ、この不眠体質の方が魔法じみてるよねぇ。
 これはご先祖様からの遺伝なんだって」


「本物の魔法使いだったというご先祖様。
 誰もが知ってるおとぎばなしで、嘘かホントかわからない与太話」


「でもホントだって信じたほうが夢があるだろう?
 眠れない僕にとって、夢は起きてる内に見ないとね」