Eno.76 リアムとフィン

5. 嵐の夜

三日目の昼が終わる頃に、天気が急に崩れ始めた。
一雨来るか、程度に思っていたら、風が激しくなり、雨量も目に見えて多くなる。

フィン
「わわわ…」

リアム
「嵐だとよ。お前は外出るなよ」


的は小さいが、それ以上に軽いのがフィンだ。
突風に吹かれると、風船のごとく島の外まで飛んで行きかねない。

フィン
「あのね、ちょっとだけ…」

リアム
「待てコラ。ちょっとだけ何する気だ。大人しくしてろ」


こっそり扉を開けて外を覗こうとしているフィンを捕まえて、リアムは休憩スペースまで連行した。
何人か外の様子を見に行って、飛来物にぶつかったと話していたばかりなのだから、
うっかりで拠点に突風が吹き込んで来ると、それこそ大事故だ。

フィンが好奇心で危ない真似をしようとするのは困りものだが、
嵐に怯えて不眠になるようなことがないのは、リアムにとっては悪いことではない。
リアムから「夜なんだから寝ろ」と言えば、フィンは大人しくぬいぐるみを抱えて寝る準備を始めた。
いつものようにリアムのところに転がり込んで、「おやすみなさーい」とのんきな挨拶。

リアム
「おう。おやすみ」


びゅうびゅうと吹く風音は、ぐっすり寝る頃には収まっていた。