破片
『最後まで女の子だと思ってたから他の名前考えてないよ!これ以外やだ!』
『男の子なんだぞ!そんな名前でいじめられたらどうするんだ!』
以前オヤジが俺の名前の意味は"流星のようにきらりと光る"って言ってたけど。
やっぱりそんな事は無いし小学校なんて名前が珍しければ話題にも上がる。
『きらりなんて名前オカマじゃん!』
『男女!』
わあわあと騒ぎ立てる男子を女子がちょっとやめなよ~なんて止めたりしてた。
小学校の時の俺はやっぱりそれで泣いたりしたし、そうじゃなきゃ名前でからかわれない様に男っぽい事を無理矢理やってみたりしていた。
ボクシング。剣道。バスケ。陸上。野球。
その中で一番俺に合っていたのはサッカーだった。
中学にも上がればサッカーはそこそこ出来たし、小学校の時のような弄りもない。
名前を漢字で書けば知らない人は「りゅうせい」くん、って読んでくれてたし、俺は別にそれでもいいかなって思っていた。
高校生に上がり、2年。
『瀬川くんの名前ってきらりって読むの?』
『瀬川の名前変わってるな』
ああ。また。
外見や積み立てたサッカーの経験で女に間違われるなんて事は無いが名前は一生ついて回る。
そうだよー女みたいだろ、とへらりと返そうとすれば。
『そんな事ないよ、いいじゃん。星みたいで。漢字とも合ってる』
俺は一瞬目を瞬かせた。
いつもと同じ返事が返ってくると思ったから。
『きらりんって呼ぼうぜ』
あっという間にきらりん、なんてあだ名がついた。
オヤジの言っていた、『流星はキラリと光る』は嘘じゃなかったのかな、って。
この無人島の静かな夜の中、外でボールをリフティングしながら考えていた。
「でもやっぱり、"りゅうせい"って名前の方がカッコイイよな」