Eno.637 楠木・R・ルーシー

禁煙3日目、その7

嵐の影響で、結構な数の罠や設備が壊れていた。
手の空いた人が修理に使う素材を探しに出たが、一行にみつからない。

良いこともあった。
倉庫に見慣れない魚があり、どうやら離島で釣り上げた魚らしい。…今度はそっちで釣ってみようかな。

悪いこともあった。
嵐の後遺症か、出先で何かを踏んでは怪我をして帰ってくる人が多くなっている。
幸いと言うべきか、食料や医療品は数があるため、安静にしていれば問題はない、と信じたい。

シャチの彼女がこっそり来たと思えばまた去っていった。治療した傷口は悪化しておらず、体調の方も少しづつ回復しているようだ。
安心した。……死にたがっていた訳ではないようだ。
いずれまた、元気そうに皆へ声をかけてくれると思うばかりだ。

神崎君も元気を取り戻したように見える。
………あくまで、そう見えるだけだ。心理学の分野は選択してないし。
それでも、彼が常に現状からより良くしようと考えているのだろうということだけは予想できる。
もしその推測が正しければ、それは彼の長所であり短所なんだろう。…いつかの私のように、壊れないといいけどな……
…ひとまず、時には何も考えなくともいい時間を与えるよう、盲目の少女ニシュプニケさんを差し向けよう、うんうん。

ロン君も大分回復してきており。緑髪の少年葉山さんとの口プロレスをしていた。元気でいいね、彼には気の毒だけど。

他の皆も、この生活に適応してきているように見える。
……もうまもなくで4日目になるのだろうか。…順調になりつつあるのが、妙に気にかかってしまうな………


ヒトは、極限状態に置かれることで本性が露わになるという
それは良いことでもあり、悪いことの方が非常に大きい。ヒトというのは常に何か取り繕って生きるものだ
…………私の行動を振り返り、また自嘲めいた笑いが溢れる



───嗚呼、とんだ偽善者


………煙草が欲しい。それさえあれば、こんなにも悪い事を考えずに済むのに