Eno.156 ネヌ・ブランショット

>Day3:PM-4

思うところは色々。
橋を架けて渡った先の離島は、どうにも緑にあふれているらしい。
持ち帰ってくる物を見分するに花畑でもあるのだろうか?
他にも、資源的な問題からあの離島は隅まで漁っていいのかもしれない。

さて。
このシマに至った私は、これが初めての"外"とも言える。
天蓋のある土くれの空に大いなる海は存在しない。
この世界は、この環境は私にとって何もかもが初めてである――と言うのは、不安を煽らない為にあまり言わないようにしている。

だからこの島の短時間で巡る気候の差には驚かされた。
太陽や雨の特性はある程度理解したつもりだけれど、あの嵐はとんでもない力を秘めている。
何も対策をしていなかったら、私たちは吹き飛んでいたのかもしれない。
それでも乗り越えてなおかつ好調。
水の用意も、余るほどの食料もある。脱出に向けた船の用意だって、少しずつ。
でも確実だ。



ネヌ
「でも御免なさい。
……あまり、興味ないんですよ」



何に? 脱出に。
自分の感情を、抑え込むのに苦労する。
推測が正しければ、そして極めて高い可能性の結果として、チーフは。
私の焦がれるあの人はここに来て、あの天使のオリジナルと漂着したのだ。

あの天使は言葉を紡がない選択をしていたけれどそれでもわかる。
わからない・・・・・ではなく、口にできない・・・・・・と言うことは、そういうことだ。
知らない訳ではないその末路。
船に乗れなかった、その先。



夢で見た沈む体、疲弊しきった死戦期呼吸。



あの人が失敗なんてするはずがない。私でも乗り越えられる危険にすくむはずがない。手を間違える筈がない。あの人は天才だ、大天才だ、その上で努力をして前を見据える人だ、誰よりも視界を広くとる人だ。あの人は、先輩は、先輩は。

どうしてかえってきてくれなかったの。