Eno.890 如月 静空

夢を見た

 灰色の部屋で、白衣姿の少女が私に何か話している
 少女は「マスター」と名乗っていた

 また誘拐された頃の記憶か?
 違う。これは生まれて間もない頃の記憶だ

 記憶の中のマスターは、本で見る研究者のような人で
 科学を誰よりも愛し、それ以上に母さんの事を愛していた

 色々な話をしてくれた
 私の事も、マスターの事も、母さんの事も
 故郷の異世界の事も

 ある日、マスターの造ったホムンクルスの話を聞いた
 彼を弟のように大切にしていたと話してくれた

 彼とはマスターがこの世界に迷い込んだ際はぐれてしまったみたいだけど
 もし一緒にいたら、私は彼の事を「お兄ちゃん」と呼んでいたのだろうか

 だって、私は
 マスターの娘でもあるのだから