Eno.315 直箟 素直

真実の書 九頁目

 
人に助けを求められない人間は、
人が思うより簡単に死んでしまう。

それは、幼い頃の僕自身がそうだったし、
野生を生き抜いてきた真白野君だってそうなのだろう。

僕が今を生きているのは、単に運が良かっただけで、
今回大事に至らなかった真白野君もまた、
運が良かっただけなのだろう。


紙一重なんだ。
その境目は。

だからもし、その境目を踏み越えないで済むのなら……、
僕はどんな馬鹿だってするさ。


そしてもし叶うなら、眼を覚ました真白野君の視界に、
威嚇すべき敵ではなくて……そこに居ても良いんだと、
そういう景色が映りますように。