Eno.322 Type-R

7日目

気温が高い。
天使には熱さも寒さも大して感じられないのだけれども、
人の身である今、凄まじく体感していてとろけそうになっている。
こんな状況で外に出て活動なんてできっこないねえ。
困った事にまだまだ続くから、なるべく喋らずに大人しくしているのだけれども。
口を開けば乾きを感じる。
この身は全く持って不便な事が沢山あるね。


――……僕の目的は、あの子の悲嘆を果たす事。
島と共に行方が知れなくなった彼の捜索。
蜘蛛の糸のようなあるかもしれない奇跡に縋る事になるだろうか。
それでも、やらなければ可能性というものは導けない。
君がずっと後悔している事。
僕達に罪という形で色濃く残しているこころの一つ。
その結果、ひとつの上位天使が歪むだけの結果をもたらした。


彼は、彼の判断がここまでの結果を導いている事を想像できたのだろうか。
――いいや、内心がどうだったであれ、僕達は彼を恨む事など許されない。
あの瞬間、恨みを抱けたのは島で唯一脱出できた『ラザル』だけだ。
『ラザル』ではあるかもしれないが所詮オリジナルのフィルターを通しているだけで。
そっくりそのまま本人であるわけではない。
似ているかもしれない、それだけの話。


200年余りのルディとしての経験と記憶。僕としての数日の実体験。
そこからうっすら導き出している一つの可能性として。
シュパーズは脱出して自分の世界に帰りたがっていなかったのかもしれない。
死んだのではなくて、自分の世界があまり好きそうには聞こえなかったから。
例えばラザルのように、苛烈なほどの使命感はそこにはなかったように見えたから。
……僅かな義務感があるようにしか聞こえなかったから。


ネヌ、君はどうなんだい。