Eno.78 淡島陽葵

幕間

 淡島で起きた大規模水害、大多数のメディアはごく普通の災害として伝えるなかある団体は、

_その特異性を気にしていた。

発生の数分前[願いの海]の兆候が淡島周辺海域で発生していたため、民間の救助隊として最も早く現地に赴き隊員たちはその異常な光景を見た。
落胆する者もいれば、見慣れた日常と割り切りもくもくと作業を進めている者もいる。

「この仕事は残酷だから。」と割り切って。

島の中央にある淡島神社は島民たちの避難所としてなんとか体裁を保っていたが、ごくわずかな人数しかいなかった。
ここにいる避難者全員が
「精霊さまの逆鱗に触れてしまった。」と口をそろえて震えた小さな声で言う。

 地区会長と思われる夫妻に我々はこう話しかけた、

「娘さんは、生きているかはわかりませんが私たちの世界ではない場所にいます。」

と夫妻に告げる職員、この仕事は残酷だとわかっていてもつらい。
大半はその場で泣き崩れるが違った。一安心したような穏やかな顔で一礼すると避難してきたみなに今できることをしようと
声をかけ境内に設けたテントの中に入っていったのを見届けた我々にできることはそう、
[願いの海]の兆候を示す周辺海域の調査を進めることだ。
夫妻に投げかけた言葉を本当の事実にするためにも。