Eno.326 アイーク

4-4:打ち水と「帰りたい」

昔、東方出身の冒険仲間から「打ち水」という文化を聞いた。
暑い日に水を撒くことで涼しくするんだと。

本当に効果があるのかはわからないけど、真似することにした。

命はリソースだが、体力や胃袋、喉に比べて回復させる手段に乏しい。
そういうのが削れるのを少しでも減らせるなら、充分御の字だろ。


そういえば、オレが拾った不思議な石、いつの間にかお守りに加工されてたな。
この暑さから身を守る効果がある……のかはわからんが
まぁ倉庫の肥やしにしとくよりは、ってことなんだろう。

ただ、最初にこの石を拾ってたサムライさん、オレが石を拾ってくるまでお守り作らなかったんだよな。
理由は、なんとなく、わかる。石の使い途は2つあった。
ひとつがお守り。そして、もうひとつが。

――こういうの知っちまったら、作ってみたくなっちまうよな?

あ、キノコ食ったのは……好奇心?
いや、普通ないんだよ、全てのキノコの区別がつかないだなんて。
例えばベニテングタケや木椅○キノコとかみたいに、ある程度の分類は出来るんだ。
全てのキノコの見た目が同じだなんて、考えられない。
でも食べた者に別々の中毒症状が速やかに現れるなんて……やっぱりここは、ヘンだ。

※単にネタと乾坤一擲の進捗のためだったとはいえない。


しかし、初日のテントの多さからみんな自らここに来たのかと思ってたけど
意外と「意図せず流れてきた」ヤツが多いのかな?
「帰りたいと思うか」なんて質問が出るくらいには。

――オレは、知ってしまっている。
最初の謎の手紙の記述は事実だと。
この島は、あと3〜4日で、沈んでしまうんだと。

身内に3人、流されたことがあるヤツがいるんだもんな。
ひとりナンナは事故。
ひとりロジータは故意。
そしてひとりスエンオレが流した。

全員の流された時期は必ずしも一致しないし
ジーランティスで体験した出来事も異なってる。
けれど、「島が沈む」のと「脱出方法が見つかる/見つからない場合、救助を呼ぶ方法がある」のは共通していた。
そのふたつは、恐らく変わっていない。
このジーランティスの世界特性なんだろうな、それが。

だから、オレはこう言った。「帰る」と。

ま、このことは誰にも言えないな。絶対に