むしがはいより、せをなぞり、
『みちるさん』
やめて
『みちるちゃん、これどう?』
やめて、やめて
『みちる、ねぇ、みちる』
やめて、いや、さわらないで
『君は、本当に………可愛いなぁ。』
うぞ、うぞ、うぞ、うぞ
這い回る
這い回る
穢れなき白き皮に、蟲の痕が残る
蟲の腹が重なり、えも知れぬ不快を齎す
細長い足が、手が、私の、首を、脇を、太腿を
ウぞ、うぞ、うぞ、うぞ
蟲の声は甘い
蟲の顔は甘い
蟲の手は甘い
されど胎の内に隠す欲望は抑えず
それを"愛"等と謳って、私に触れようとする
『みちるちゃん、可愛いねぇ。
お母さんに似てて、可愛いよ。』
きしきしと鳴くその聲は、毒物に塗れて気持ち悪い
自らを蝶だと思っているだろうか、この蟲は
さわないで、きもちわるいこと、しないで
私の涙は届かない
私の痛みは分からない
私の嘘は………積み重なって、いく
ピアノが、うまく、弾けないの
あの日から、歪な音しか、奏でない
蟲が嫌い
蟲が嫌い
蟲が嫌い
でも、
それを振り払えないわたしは、
もっと、嫌い