流壺の手記3
一部、挙動不審で不安になる人もいるけれど。とりあえず平穏……なの、かな? 美味しいもの食べられてるし、楽しいし
伊智が狼煙を作ってくれた。そう言えばここ、沈没するんだよね……。その辺りのことも考えて動かなくちゃな
暑さでバテてた
次は雨らしい……けど、なら、おれはちょっと動けなくなりそう。この傷はおれにとって特別な意味のあるものだから消えて欲しくはないけれど。あと少し、何とかなったらな
痛みには慣れてるはずなのに
◇
好きな人の話になった。おれの最愛は冴渡華火。隣に居られれば幸せだった。島の掟により、光と影は結ばれない。どうせおれはその先へは進めないのだし
最初から成就しない恋愛だった。影は島の太陽に恋をしたけれど、叶わぬものと知っていた。だから仄かに抱いたこの想いも、伝えることなんてしなかった
それで良かった
それで、良かったんだ、よ
あぁ、でも
“もしも”があったのなら──
きみ と
◇
きみをこの手で殺す前から、おれは諦めていた。主従以上のものにはなれないし、そこから先も望んでいなかった
きみをこの手で殺したのも、きみがおれに命令を下したからで。冴渡を護る影宮の者として、誇れる生き方は出来ていたはずなんだ
なのに
こんなにも苦しいのは、どうして?