一報、それは昔の話
──ある星の人々は、宇宙へと旅立つことをずっとずっと夢見ている。
小さきこの星を飛び出し、空かける船に乗り。
柔らかな無重力の中で自由な旅行を。
もしくは、繁栄のためのまだ見ぬ資源を。
浪漫と、開発の、未知に満ちた宙。
その輝きはきっと夢を纏っているから何よりも幻想的に見えるのだろう。
望遠鏡の目から、小惑星を見つめている。
ああ、だって、空も飛べるようになった昨今である。
翼を広げて飛び立つ、鉄の船は空を行く。
ならばだって、宇宙だって行きたいじゃないか。
見上げている。あなたが欲しい。
星の輝きが手中に収まったのなら、この世で最も美しいものが、私の手の中にあるようなものではないか。
この足ではかけていけない。
この体では飛んでいけない。
──届かせてくれないか、あそこへ──
◇ ◇ ◇
──なんて。
手を伸ばし続けたのも、焦がれていたのも、神秘を纏っていたのも、随分と過去の話である。
人間という種族は繁栄している。し続けている。
星を改造している。
地面を建物で飾り立て、コンクリートジャングルの城を作り上げ、夜を電灯で満たし、山を削り、生存範囲を広げた。
その星の資源を、取り、使い、組み立て、閃き、より良き生活のためにその星を使い潰している。
我々は知性ある生き物であり、より良き生活を望み、世界を切り裂いていくというのはさも当然の在り方であり。
この星の全て生き物の支配者だと名乗るほどの傲慢さを人が持っているのであれば、その星の資源を当たり前が如く使い潰すのもまた、当然である。
人は権利を持っていた。その星を開発する。
それらは怠けることなく、自分自身らが、快適に、かつより良い生活を望み続けている。
歩みを止めることはない。
より良き生活と快適さを求める。
日常の中の幸福を望み続ける。
──だから、その星だけでは飽き足らず。
ついに、宙に手をかけていた。
重力すらアンチしている、息を吸うことのできないそこへ。
宇宙開発。
人は貪欲であった。