Eno.919 クーツェ・イゼール

遭難日数5日目記録 クーツェ

予想通り島は猛暑に見舞われた。
以前造られた氷室が大いに活躍し、僕も世話になる。
そんな暑い中、4日目にしてノーマンがすべての道を作り終えるという偉業を達成して島の開拓は進んだと言っていいかもしれない。
この島にいるナニカは島が沈み始めることを考えてか島から出るのに必要な道具や食糧が揃った一式・・・つまり脱出キットを作り始めた。
内心疑っていた部分があるがそれについては申し訳なく思い、少しでも手伝って、ナニカを含む22人全員の分作れるように協力しようと思う。
浜辺に出て拾える布材を集めて、僕はベルトを作り始める。

ふと出かけては戻ってくる遭難者たちを見て、まだ一人帰ってきていないことに気付く。
荷物を持ちすぎて移動できないのではないかと荷車と懐中電灯、松明を持って探しに出たのだが予想外だった。
泥だらけになって、目の焦点が合っていなくてやたらとハイテンションで僕は少し警戒をして合間を空けて、普段通りを装い、声をかけ、まずは水を飲ませることを試みる。
与えた水を受け取ったはいいがうまく手を動かせない事や飲みこぼす様子は以前拠点でキノコを食べた遭難者と似ている部分があった。
他の遭難者に協力を仰ぎたかったがふらついてどっか行ってしまうのではないかと思い僕自身で何とかしようと動く。
ブドウを与え、お守り代わりに拾った指輪を渡し、思った以上にすんなり荷車に乗ってくれたので雨に降られる前に拠点に戻ることができた。

森でキノコを食べたのはもしかしたら元の場所へ帰りたくない逃避の可能性があったけど、生き残ればいくらでも逃避はできる。
今は僕のこの行動が正しかったと思いたい。
この日、僕はとても疲れて深い眠りについた。

この島での生活はいつまで続くかわからないがそう遠くない日に島は沈むのだろう。
雨が過ぎて、曇った空を見上げて、またひと嵐きそうだと思うのだった。