Eno.315 直箟 素直

追憶の書 十二頁目

 
母さんが警察のお世話になってしまったので、
僕の親権は東京の父さんへと移った。

久しぶりに会う父さんは、
昔通りに誠実で、優しかったけれど、
どこかやつれているようにも見えた。


僕も僕で、それからの事は本当に大変だった。

中学に入って人間関係は益々複雑怪奇になって行くし、
僕自身も今よりずっと人付き合いを知らなかったから、
薩摩隼人として虐められる事こそなかったものの、
細かな衝突は絶えなかった。


事件を境に白くなった髪の房も、
何時しか元に戻らないままになってしまった。