Eno.645 ヴィクトル・トート

観察記録

大きな焚き火のところにねこがいた。
なんかいるよな、とは思ってたけど、たぶんあいつだったっぽい。
僕は別に目が良くないわけじゃないけど、よく見えるってわけでもない。
それに加えても、隠れるのが上手いねこみたいだ。
人間とねこって、だいぶ体の大きさが違うけど、平気な顔して寝てた。
慣れてるのか、肝が据わってるのか。知らないけど、ねこって結構強いのかもな。

ねこに触ったのは初めてだったかも。
普通のねこと同じかどうかわからないけど。
ふわふわだったし、街にいる野良猫みたいに痩せてなかった。
たぶん餌もちゃんと食べてるんだろう。
むしろイカを置いていったくらいだから、あいつの方が食べるのには困ってない可能性もある。
イカはちゃんと食べた。僕は別に小さくはないけど。
……やたらでかい奴らがいるだけだし。僕は小さくはない。
そのうちもっとでっかくなるし。

今度ねこに会った時には何か返せるように、食べ物をいつも持っておくことにしよう。
ねこに借りを作ったままなのは、ちょっと気になるし。
それでもしよかったら、また撫でさせてもらおう。


『…………』

「なんだよ、ヨナ」

『べつにぃ。なんでもないけど???』

「なんなんだよ」