三十一頁目
船長 即ち父の船では全員皆がよくしてくれた
盗み聞きをするつもりはなかった だがある日偶然聞いてしまった。
私は船長の実子であるということ。ある港の富豪に嫁いだ娘との不義の子であったということ。母に当たるその娘は私を産むため命を落としたこと。
怒り狂った富豪が私を殺そうとしたこと。
よくある話だった。
奴隷として使うことは父の立場を、そして私を守るための最善策だったとよくわかった。
だから父を恨む気など少しもわかなかった。
ただ、あの日 船を襲われ沈められたあの日 私のことも連れて行ってくれればよかったと、そう思うことは幾度もあった。
そんなことを、この嵐で流れ着いた船を見て思い出した。
盗み聞きをするつもりはなかった だがある日偶然聞いてしまった。
私は船長の実子であるということ。ある港の富豪に嫁いだ娘との不義の子であったということ。母に当たるその娘は私を産むため命を落としたこと。
怒り狂った富豪が私を殺そうとしたこと。
よくある話だった。
奴隷として使うことは父の立場を、そして私を守るための最善策だったとよくわかった。
だから父を恨む気など少しもわかなかった。
ただ、あの日 船を襲われ沈められたあの日 私のことも連れて行ってくれればよかったと、そう思うことは幾度もあった。
そんなことを、この嵐で流れ着いた船を見て思い出した。