Eno.405 イザヤ

難破船

嵐が来て、船が流れ着いたそうです。
前の島でも船が流れ着いたという話を桃さんや八十子さんがしていましたが、時と場所が変わっても同じように船が流れ着くなんてことがあるんでしょうか。
不思議な場所です、ジーランティスは。

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難破船といえば……どうしても昔の事を思い出してしまいますねぇ……。

思えば、『勇者』の乗った船が嵐で私の故郷に流れ着いたのが災難の始まりでした。
まあ『勇者』は勇者なので怪我ひとつなくピンピンしていたわけですが、乗員乗客にはそこそこに怪我人がいまして。
その人たちの傷の治療などしていましたら——いつの間にか一行の頭数に入れられていたんですよねぇ。
あの時は唖然としたものです。

こちらの社交辞令を真に受けて。
勝手にこちらの抱えてた借金を清算して。
勝手に周りと話をつけていて。
明日出発だからついて来いとか。
本当にあの男は酷い。

まあ、妻も亡くなって故郷でやることも見いだせませんでしたし、ちょうど良かったといえば良かったのですけれども。

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うちのリーダーはそんな人間傍若無人ですから、さして精神状態を気にする必要とか無いのですが、
ネヌさんは周りに気を配りすぎるタイプの方に見えますから、少し……心配ですね。
ちゃんと休息を取れているのでしょうか。
気分転換されているのでしょうか。

……心労をかけた私が言えた義理じゃないのですが、せめて風呂の恩ぐらいは返して帰りたいものです。
あの風呂はとても良いものでしたからね。