Eno.657 レックス

無題

はじめてのごはんがいっぱいで、
はじめてのあたたかさが、やさしさが、しあわせが、
ここにはいっぱい。

ごはん、ちゃんとたべられる。
つめたいみずじゃなくて、
おふろっていうあたたかいの、はいれて。
みずは、あんぜんなもので。

ねるとき、こわくなくて。
ひとりじゃ、なくて。

かえったら、
つめたいごはんがあって、
いや、ごはんがあるだけで、ラッキーで
さむくて、いきてるだけでせいいっぱいで。
ねているあいだが、こわくて。

おきたら、おれはもういなくなっちゃってるんじゃないかって。
ずっとずっと、おれはひとりで。

くちがわるいから、はなしかけてくれるの、うれしいから、
ついたのしくなって、からかっちゃって、しゃべりすぎちゃって
それで、いつもきらわれちゃうから。

だからずっと、ひとりに、なっちゃう。


ああ、かえりたく、ないなあ。
でも、みんなと、かえるんだ。


ふゆのひにね
やど、かりるおかね なくてさ。
すごくさむくて、おなかがすいて、うごけなくて
じっとしていたら。

どこかの、どこかのいえから さ
おいしそうなにおいがしたんだ。

きっと、それはあたたかくて、しあわせで
かぞくみんなで、おいしいねってたべてるんだって

ああ、いいな、いいなって。
おれも、たべたいって、そうおもうと、
ぎゅ〜〜っておなか、すいちゃって。

それは、かれーだったんだね。

ありがとう。
ほんとうに、ありがとう。

ずっと、ずっと、ずっと。
これね、たべたかったんだとおもう。

あんなに、おいしかったんだ。
また、ここにいるうちに、いるうちは、さ、
たべたいなあ。

いっぱいたべて。
しあわせ、いっぱいなって。

それで、かえろう。
ゆめのような、じかんだった。