Eno.704 アスエリオ

アスエリオの手記23


嵐が終わり、漂着船が来た
そこではこれまでなかった
様々なものが見つかった
興味はあるけれどまた後で

……少し、わくわくした
デイズが教えてくれた物語
冒険譚もあって、憧れてた

魔局の外に出られたら
そんな冒険をしてみたいななんて
デイズからのお話を聞くたびに思ったのだ
漂着船にはそんな冒険がある

大砲を磨いて、帰還の為の道導とした
届くと良いな、外へ
帰りたい、帰らなきゃ
あの地獄の世界へ 私は

もしもここが沈まなくて
ここにみんながいたのなら
私はここにずっといたいと
思うのだろうか

この島には
私が望んでいた自由があった

私 は

  ◇

私の地獄が私の帰るべき場所
帰ったらまた 魔局の道具に戻るんだ

みんなと約束はしたけれど
その先の未来なんて、保証されてないのに
──自由になれる保証なんて、ないのに?

帰りたいんだ、帰らなきゃならないんだ
掴めるかも分からない未来を
何とかして掴む為に

殺したくない、死にたくない
心を殺したはずなのに
怖くなるのは何故だろう
泣きたくなるのは何故だろう

──帰らなきゃならないのに、
帰りたくないのは、何故だろう


違う 違うの 私は
そんなこと、思っちゃいけないのに
みんなはまだあの地獄にいるのに

私だけ逃げることは許されない
だからこの感情は間違いだ
なのに、どうして?

私は私から、目を逸らそうとした

──帰ったらこの楽園での生活も
終わってしまうんだ


私はまた私を、
私の心を殺さなきゃならなくなるんだ




「……かえりたく、ない、よ」