神崎の手記(優先順位)
脱出に関して様々なモノが発見されたようで、
俺は進めていた脱出案を一時的に停止し、他の案に対する意見を募った。
『救助を想定した島の設備』『船を製作しての自力脱出』『不思議な石の力に賭ける』
『救助を想定した島の設備』は今までと変わらず、狼煙や灯台、花火による
近くを通った船に気づいて貰う為のモノだ。やりすぎぐらいで丁度いい。
『船を作って自力脱出をする事』は数日間飲み食い出来るモノと船を用意する事で
実現も可能であると判断した。船の設計図や羅針盤の発見が大きい。
『不思議な石の力に賭ける』……石板の文字にはたくさんのモノがあれば
何かが起きると書いてあるように思えた。詳細不明だが、
朽ちた石板が元に戻るのを見たというモノが多数いた。
“悪魔の証明”の悪魔を連れて来られたという訳だ。あるなら認めるしかないだろう。
書き置きにそういった内容を残した。
方針が定まらない中、製作を進める訳には行かないので
どちらにせよ必要な資材を集めようという判断をした。
漂流船の状態確認や、どういったモノがあるのかを調査する必要もあったので
そこへ一度見に行く事にした。
……たまたまタイミング良くそういう状況だっただけだ。
本当は『脱出に関するモノ』を作るのが怖くなった。
これが完成していく毎に『みんなと一緒に居られなくなる事』を自覚してしまったから。
漂流船での探索と船の状態確認は概ね好調であった。
俺も外の作業を問題なく出来ると少し調子に乗り始めた頃、
朽ちた木材を踏み抜き、雑多に物が転がる船内に倒れこんだ。
プロテクターが無かったら怪我をしていた。調子に乗るとロクな事にならない。
漂流船で普段はみんなが居るから言えない愚痴を言って気を紛らわせた。
――モノ作りが怖いだなんて言える内容ではない。
少し楽になったのか、そのまま普段は言えない愚痴を口にしていった。
――特別扱いになるから“居て欲しい”なんて言えないだとか、
そもそもそれ言うのって恥ずかしくないかとかそういったモノ
島で最初に手に入れた便箋を読む。
早くて数日、長くとも数十日で沈む島。周辺に船が通るのは七日ほどに一度。
……“タイムリミット”も近い。子供のような我儘を言うのはやめよう。
一番怖い結果は『島のみんなが倒れる事』で、
その次は『みんなを島から脱出させてあげられない事』
優先順位を間違えるな。
島から戻っても元の生活に戻るだけ。みんなと一緒に居るのは脱出するまで。
それでいいじゃないか。それが“正しい判断だ”
もうこの件で悩むのはやめよう。これからはやるべき事をしっかりやろう。
俺はそう決めて拠点へと戻った。
荷物番を再び引き受けながら壊れたプロテクターを倉庫に置いた。
貴重なモノを壊したとみんなに報告した所、怪我をするより良いという返答であった。
後でちゃんと直しておこう……
医療セットの数が減っている事に気が付いたティッキィが
使ったら作るから報告して欲しいと、特に怒った様子ではなく
必要だからそうして欲しいと一人呟いていた。
……やべっ、俺か!? と思って使用した覚えのある医療セットを思い返した。
自作の完コピ医療セットを使ったし、俺の作ったモノは何処にも無かったので
恐らく間違ってはいないだろう。ひとまず安心……
その後、彼女は追加の医療セットに必要な物を集め始め、
そうこうしているうちに二つの医療セットを作り終えた。
かつて医療に関する道具の使い方を知らない状況であった事を記憶しているが、
今のティッキィからはその様子は一切感じない。
彼女はまごう事なき“医者”であった。
作り終えた医療セットを興味本位で見てみると“使ったら報告!”の文字があった。
より良い結果の為、試行錯誤をしている事を俺はしっかりと理解した。
俺は進めていた脱出案を一時的に停止し、他の案に対する意見を募った。
『救助を想定した島の設備』『船を製作しての自力脱出』『不思議な石の力に賭ける』
『救助を想定した島の設備』は今までと変わらず、狼煙や灯台、花火による
近くを通った船に気づいて貰う為のモノだ。やりすぎぐらいで丁度いい。
『船を作って自力脱出をする事』は数日間飲み食い出来るモノと船を用意する事で
実現も可能であると判断した。船の設計図や羅針盤の発見が大きい。
『不思議な石の力に賭ける』……石板の文字にはたくさんのモノがあれば
何かが起きると書いてあるように思えた。詳細不明だが、
朽ちた石板が元に戻るのを見たというモノが多数いた。
“悪魔の証明”の悪魔を連れて来られたという訳だ。あるなら認めるしかないだろう。
書き置きにそういった内容を残した。
方針が定まらない中、製作を進める訳には行かないので
どちらにせよ必要な資材を集めようという判断をした。
漂流船の状態確認や、どういったモノがあるのかを調査する必要もあったので
そこへ一度見に行く事にした。
……たまたまタイミング良くそういう状況だっただけだ。
本当は『脱出に関するモノ』を作るのが怖くなった。
これが完成していく毎に『みんなと一緒に居られなくなる事』を自覚してしまったから。
漂流船での探索と船の状態確認は概ね好調であった。
俺も外の作業を問題なく出来ると少し調子に乗り始めた頃、
朽ちた木材を踏み抜き、雑多に物が転がる船内に倒れこんだ。
プロテクターが無かったら怪我をしていた。調子に乗るとロクな事にならない。
漂流船で普段はみんなが居るから言えない愚痴を言って気を紛らわせた。
――モノ作りが怖いだなんて言える内容ではない。
少し楽になったのか、そのまま普段は言えない愚痴を口にしていった。
――特別扱いになるから“居て欲しい”なんて言えないだとか、
そもそもそれ言うのって恥ずかしくないかとかそういったモノ
島で最初に手に入れた便箋を読む。
早くて数日、長くとも数十日で沈む島。周辺に船が通るのは七日ほどに一度。
……“タイムリミット”も近い。子供のような我儘を言うのはやめよう。
一番怖い結果は『島のみんなが倒れる事』で、
その次は『みんなを島から脱出させてあげられない事』
優先順位を間違えるな。
島から戻っても元の生活に戻るだけ。みんなと一緒に居るのは脱出するまで。
それでいいじゃないか。それが“正しい判断だ”
もうこの件で悩むのはやめよう。これからはやるべき事をしっかりやろう。
俺はそう決めて拠点へと戻った。
荷物番を再び引き受けながら壊れたプロテクターを倉庫に置いた。
貴重なモノを壊したとみんなに報告した所、怪我をするより良いという返答であった。
後でちゃんと直しておこう……
医療セットの数が減っている事に気が付いたティッキィが
使ったら作るから報告して欲しいと、特に怒った様子ではなく
必要だからそうして欲しいと一人呟いていた。
……やべっ、俺か!? と思って使用した覚えのある医療セットを思い返した。
自作の完コピ医療セットを使ったし、俺の作ったモノは何処にも無かったので
恐らく間違ってはいないだろう。ひとまず安心……
その後、彼女は追加の医療セットに必要な物を集め始め、
そうこうしているうちに二つの医療セットを作り終えた。
かつて医療に関する道具の使い方を知らない状況であった事を記憶しているが、
今のティッキィからはその様子は一切感じない。
彼女はまごう事なき“医者”であった。
作り終えた医療セットを興味本位で見てみると“使ったら報告!”の文字があった。
より良い結果の為、試行錯誤をしている事を俺はしっかりと理解した。