Eno.322 Type-R

9日目


機が熟すまでゆっくりしてみたけど、
機が熟しそうにないから散歩がてら軽く沈没船を探索した。

その光景を見た瞬間、僕に襲ってきたのは強烈な動揺と、悲しみだ。
オリジナルの大罪、当たり前だが結末とほぼ同じ光景がそこにあった。
違いは、彼が居るか、いないかで……。

思わず足を止めてしまいそうになったが、それではいけない。
なんせ脱出の為のキーとなる物資がここにたんとあるのだ。
それに、このこころに向き合う事もせずに僕が忌避してしまうのは、良くない事だ。
皆は拠点にいるから、静かな波の音ばかりが響いている。


嫌だな。いや……。


……この船を探索する時は気を付けなくてはならないな。
動揺が酷い、怪我をしないように十分に足元に気を配ろう。


うん、気持ちを切り替えよう。
船の中でトマト缶を拾った。
そういえば、ラザルからはパンを一緒に食べたけれども。
シュパーズにはピザを食べさせてもらったんだっけ。


パンの生地がもうひとつ必要かな、
材料は大丈夫、容易に手に入るものをのぞけば手元にある。
縁ある彼女に、是非とも振舞えれば。
余計なお世話、そうかもしれない。
けれど、美味しい食事は心を豊かにするのだと……そう、僕のこころにはあるのだ。


まあ、一先ず。もう少し日が傾くのを待とうか。
ところで甘味のパーツを持て余しそうなのだけれども。
……落ち着いたら振舞って終わりにしてしまってもいいかもね。