...人の中...
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「わらいばなしだとでもおもっているの?そうじゃないのよ!」

「だってそうじゃないでしょう、そうよね?そうだったはずでしょう?」
傍に居て欲しい時には居るように、と。ええ、私確かに頼まれたの、嵐の日に。
あなたの為の話だったわ。あなたが困ったり、寂しかったり、不安な時の話よね。
だけどもその後聞いたら、何だか調子がおかしかったし。
それにそうして呼ばれる事は無かったし。
行方不明がいた時だって呼ばなかったし。
だからてっきり、それは“無い話”になったのだと思ったのだわ!
そうでなかったから、私本当に驚いたのよ。

「……ほんとうにびっくりしたの……」
私、雨なんてどうでも良いわ。嵐だって構わないの。
フレンチトーストをそこまでして食べたいとは思わないし。
少し濡れたり風邪をひくのだって、気にしないの。
だから本当に、帰りたくは無かったのだわ。
……だって、みんな最近“見えるもの”の話ばかりでしょう?
石碑とか、難破船とか、救助要請とか。私、見えないもの。
見えないから、何をどうしたらいいかなんて、ちっとも分からないの。
そんな風に楽しくしている所に、私って邪魔だわ。

「………………………」
──そういう特別なものって何かしら。
私ね、随分前にそれをあげてしまって、それからずっと。
考えようともしなかったの。
考えるのすら怖いから。
私が変わってしまったみたいで。
不安で怖くてたまらなくなって、どうしようもなくなるのよ。
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