神崎の手記(嘘つきときっかけ)
天候は崩れ、3度目の嵐がやって来た。
やるべき事をしている内に天候が悪化するまで時間が経過していたようだ。
それまでに出来る事はやって来たつもりだ。結果を確認していこう。
俺の考えが届いているのであれば帰って来るハズだと思っていた人物の姿は無い。
嵐の時に探す必要はなく、大切なモノが壊れてしまったなら直すという言葉は、
エポラに届いていなかったという結果が俺に届いた。
分からないながら人の気持ちを考えようとした試行錯誤は不完全なモノであったのだ。
ソレがすぐに出来るようになるなんて思ってはいない。切り替えよう。
それほど俺は感情というモノに向き合って来なかったんだ。
次の策として別の掛けるべき言葉や、必要な物を準備していると
妙に倉庫からレインコートやプロテクター等が
無くなっている事に気が付いた。
1つ減っているなら少しだけ俺の言葉が届いていた証拠になるが、
複数無くなるという現象は別の何かが起きている事の証拠だった。
それを確認した後、再び拠点内の人数確認を行った。
俺が確認した時に居ないのはエポラ、おうじさん、まだ話した事の無い少女。
また新しく考えなくてはならない問題が出来た。
思えば、おうじさんは時折普段の様子からは想像出来ない鋭さで
俺や周りの事に気づいていたように感じる。
彼の普段の言動はもしかしたら“嘘”なのかもしれない。
俺がよく知っている手段を仮に当てはめてみるが、それに確証はない。
まだ話した事の無い少女の事は、考えてこなかった結果だ。
判断出来るほどの材料すら持ち合わせていないので仮説を立てる事も出来ない。
この結果から考えられるのは
俺がしっかりとした準備を整えて捜索する事は出来ないという事と、
今はおうじさんの鋭さに任せるべきだという判断だ。
変な話にはなるが、彼が“嘘つき”であるという結果を望む。
準備を整える事の出来なかった俺に今出来る事は限られる。
ニシュに捜索を止められたのは“準備が出来ていなかった時”だと記憶しているから。
こうして“きっかけ”が無いと俺は人の気持ちや感情を考える事も出来ないのだ。
今の俺に言葉という手段で望んだ結果に辿り着けたのは、
傍に“居て欲しい”というたったひとつの望まれていない言葉だけだった。
自分の感情すらまともに理解出来る判断材料を持たない俺が
傲慢にも人の気持ちを推し量ろうという話は、歪で滑稽なモノでもあった。
……歪んでいても、真似事でも、急ごしらえでもなんでも良いからせめて
『みんなを島から脱出させてあげられる』までは少しでも望んだ結果に辿り着きたい。
ほどなくして、おうじさんがエポラを担いで拠点に戻って来た。
気づけばあの少女も拠点にいる。
「おかえり。後、お疲れ様……体を温めてから休息を取ってくれ」
今の俺には必要だと判断出来る言葉しか掛けられない。
3名に必要なのはそれに適した休息だからだ。
俺はおうじさんが“噓つき”であるという確証を得た訳では無いが、
その可能性が非常に高いという結果を得た。
やるべき事をしている内に天候が悪化するまで時間が経過していたようだ。
それまでに出来る事はやって来たつもりだ。結果を確認していこう。
俺の考えが届いているのであれば帰って来るハズだと思っていた人物の姿は無い。
嵐の時に探す必要はなく、大切なモノが壊れてしまったなら直すという言葉は、
エポラに届いていなかったという結果が俺に届いた。
分からないながら人の気持ちを考えようとした試行錯誤は不完全なモノであったのだ。
ソレがすぐに出来るようになるなんて思ってはいない。切り替えよう。
それほど俺は感情というモノに向き合って来なかったんだ。
次の策として別の掛けるべき言葉や、必要な物を準備していると
妙に倉庫からレインコートやプロテクター等が
無くなっている事に気が付いた。
1つ減っているなら少しだけ俺の言葉が届いていた証拠になるが、
複数無くなるという現象は別の何かが起きている事の証拠だった。
それを確認した後、再び拠点内の人数確認を行った。
俺が確認した時に居ないのはエポラ、おうじさん、まだ話した事の無い少女。
また新しく考えなくてはならない問題が出来た。
思えば、おうじさんは時折普段の様子からは想像出来ない鋭さで
俺や周りの事に気づいていたように感じる。
彼の普段の言動はもしかしたら“嘘”なのかもしれない。
俺がよく知っている手段を仮に当てはめてみるが、それに確証はない。
まだ話した事の無い少女の事は、考えてこなかった結果だ。
判断出来るほどの材料すら持ち合わせていないので仮説を立てる事も出来ない。
この結果から考えられるのは
俺がしっかりとした準備を整えて捜索する事は出来ないという事と、
今はおうじさんの鋭さに任せるべきだという判断だ。
変な話にはなるが、彼が“嘘つき”であるという結果を望む。
準備を整える事の出来なかった俺に今出来る事は限られる。
ニシュに捜索を止められたのは“準備が出来ていなかった時”だと記憶しているから。
こうして“きっかけ”が無いと俺は人の気持ちや感情を考える事も出来ないのだ。
今の俺に言葉という手段で望んだ結果に辿り着けたのは、
傍に“居て欲しい”というたったひとつの望まれていない言葉だけだった。
自分の感情すらまともに理解出来る判断材料を持たない俺が
傲慢にも人の気持ちを推し量ろうという話は、歪で滑稽なモノでもあった。
……歪んでいても、真似事でも、急ごしらえでもなんでも良いからせめて
『みんなを島から脱出させてあげられる』までは少しでも望んだ結果に辿り着きたい。
ほどなくして、おうじさんがエポラを担いで拠点に戻って来た。
気づけばあの少女も拠点にいる。
「おかえり。後、お疲れ様……体を温めてから休息を取ってくれ」
今の俺には必要だと判断出来る言葉しか掛けられない。
3名に必要なのはそれに適した休息だからだ。
俺はおうじさんが“噓つき”であるという確証を得た訳では無いが、
その可能性が非常に高いという結果を得た。