Eno.582 メロウィア

夢を見ていた

この頃は気候と気圧の変動が激しくて、
思うように動きを取る事が叶わなかった。

やはり、氷室で眠るのは少々行儀が悪いだろうか。
私はずっと、海へ沈む夢に魘されていた。

子供の頃のトラウマからだろうか。
けれど、不思議と悪い心地はしなかった。
海中は深く潜る程にひんやりと冷たく、
さながら水底に誘われているかのようだった。

陽の光も届かないくらいの深さへ差し掛かった時、
どこか、懐かしい血の匂いを思い出した。

それで目が覚めた。
私は未だに、地上の楔に囚われているようだ。
或いは、その楔にこそ守られているのかもしれない。


残る時間は僅か。島は沈み、きっと船は発つ。
父の言う、得難いものを更に多く手に入れなければ。