Eno.563 でかいうさぎ

兎の背負い袋 裏


古びた荷物袋の内側に、刺繍による文章が隠されている。
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私はこの子に、アマガミ、と名をつけました。
まだ拾ったばかりの小さいころ、力加減を覚えてきたこの子が、
私の指にやわらかく、じゃれるようにかみつく姿がかわいくて。

そのときに、いっときの気まぐれではなく、
ずっとそばにいようと決めて、ともに長い時間をすごしました。
けれど残念ながら、さきに私の一生がつきてしまうようです。

いつかまた、新しいともだちができますように。
もしかしたら、新しい名前がつくこともあるかもしれません。

けれど、私といた時間のことも、残っていてほしいから。
こうして、目立たないところに記します。
この子は私にとって、大切な子であり、たのもしい相棒でした。
どうかいつまでも、元気でいてね。

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