Eno.574 三河 元忠

事の始まり

7/7 放課後 行きつけのホームセンターにて

澪:「シニア猫向け、か……」

キャットフードの袋を前に思案する。
元忠は11歳か12歳。シニア猫向けと呼ばれるキャットフードは大体7歳を過ぎた猫向け。

普通ならとっくにお世話になってもいい年齢の猫だけど……
3年くらい前に試しで買って、いつものキャットフードに混ぜたら

「ノーオウ」(まだ若いもん)


と一鳴きして、きれいに寄り分けて食べていた。
ちなみにこの『要らないよ』のジェスチャーを見せ終わったらちゃんと食べてくれた。


ホムセンの新人店員さん:「長生きされてる猫ちゃんのフードでしたら、  今見てるものがお勧めですよ。お試しに小袋に数食分分けましょうか?」

澪:「ちょっとよく見てみます。一粒良いですか?」
新人さん:「はい、どうぞ。においも嗅いでみてください。強くないので、置き餌にも向きますし、慣らしで他の餌に混ぜる時もそのまま食べてくれますよ。」

澪:「ふーん……混ぜやすい……失礼します」

見つめて、匂いをかいで、元忠がカリカリやってる所を想像して……

澪:「悪くないですね。元忠、割と好きそうな味してるかも……。
 前にシニア猫向け断られた事もあるんで、小袋に分けてください。」

新人さん:「断られたぁ!?猫ちゃんが!?」(はい、お買い上げありがとうございます。)

澪:「なんか逆になってません……?後はいつものコレを。」

新人さん:「あt……アリガトゴザイマス……(これも猫ちゃんと話し合って決めたのかな……かも知れないな)」

元忠ももうすぐ12歳。気持ちでは若くても、身体はこういうの食べさせといた方がいいのかも、なんて思いながら、キャットフードを荷台に乗せて家に帰った。
これがささやかな、ことの始まり。