真実の書 十六頁目
またまたまたも上陸した嵐が男子部屋の壁を叩いている。
真白野君は獣の呼吸を研ぎ澄まし、
フローレンス君はグランダーの血を騒がしているけれど、
僕自身はこういう日には、『論語』のページを繰って過ごす。
何故ならこういう日でもないと睡魔に負けて
さっぱり読み終わらないからだ。
孔子先生は思想の大家であると同時に、
高名な催眠術師でもあったのかも知れない。
そうして騒がしい室外をよそにページを繰っていると、
ようやく自分が、この本を手に取った最大の理由へと
到達した事を知った。
子路第十三、十八章。
それは、楚の大夫、葉公と孔子による、
正直者についての記述だ。