Eno.6 上居 櫂翔

わかればなし


   




「ねぇ」




「ん?
 なに? カノ」


「カイトってさ
 何かを本気で好きなったことってある?」




「モチ!
 最近は写生にハマってて、見てみ、これ」


「そうじゃねぇよ」


「この前はバスケだったじゃん。
 ネイルだったり、マウンテンバイクだったり……」




「うん、フラワーアレンジもマブいジャンね」


「それ」




「どれ?」


「だからそれ、一体何回趣味かえんのって」




「物理的にできんくなるけど、全部好きッショ、買ったもんとか全部レンタルスペースに保存して……」


「いやだからそれだって。
 あんたそれ本当に好きなの」




「好きだよ。
 時間があったら今すぐ始めたいぐらい」


「彼女の前でも?」




「カノのことは最優先!」


(嘘つけ)



「アタシから見たら、どれもこれも浅くて、さ」




「物理的にたんねーのよ。オレが1万人ぐらいほしい……」


「死ぬほど煩そう」




「……人付き合いだって
 "コスパ"でみてない?」




「コス…………」


「人のこと、倍速の動画みたいに見てない?」




「んなこと、ないけんど」


「アタシからはそう見える」




「そう、ゴメン」


「待ち受け、知らない人だし」




「ああ、これセパタクローサークルの」


「誰だよ」




「こっちにいんのが中之条さんと─」


「説明しなくていいから」




「とにかく
 そういうとこ。

 カイトの顔好きだし、
 付き合ったけど……
 なんか、ね」




「なんか?」


「深い穴覗いてるみたいで」




「穴」


「とにかく、なんか見つけなよ 本気で好きなこと なんでもいいから」




「カノはダメなん?」


「平気で嘘つくな」




「嘘じゃねーのに」


「セパタクローサークル待ち受けにしてよく言う口だな」




「カノの日もあるべよ?」


「日めくりカレンダーかよ」


「とにかく、それだけ」




「アンタがモテんのに長続きしない理由、よくわかった」




「ごめ、寂しい思いさせてたならまた時間作るわ…
 あ、やべ、明日臨海学校だから支度しに行くジャンね」


「そういうとこ」




「?」


「ほんと、そういうとこ」




「そんじゃ、土産楽しみにしててな!
 またどっか旅行でも行こ!」







「…………」









『別れよう』




「臨海学校前に送って少しても曇らせてやろうかと思ったけど・・・」




「ハァ!?既読無視!?
 何なのアイツ!!
 充電切れ!?
 どうせ臨海学校で写真撮りまくってんでしょうに!」


「顔に釣られんじゃなかった……」





PPP……



「あ、合コン?
 いくいく~
 カイト?

 浮気された、ほんっと最悪~」









        0/TIME







「シマに流されるなんて滅多にない、いやきっとこれから一生ないような経験ジャンね!
 できる限りやれること全部やりてぇ~!!!」





「そう思わん?
 御伽屋。

 なんて、こんな場所まで見てないか」





 世界はこんなにも面白くて。
 
  一生じゃ時間TIMEが足りなくて。

       オレには一つを突き通すなんてできないから。
 




進捗。
進み具合・捗り具合、物事がどの程度うまく(順調に)進んでいるか。





目標:できるかぎり進捗を埋める





「ダチはダチで、ダチのやりたいことも、無限に違ってくるから時間TIMEは限られてて共有シェアすんのがむずいだけで
 コスパとかで、見てない……んだけどなァ」



小目標:誰かと仲良くなる