Eno.14 神崎 考希

神崎の手記(本当に望むモノ)

嵐はいつの間にか過ぎ去り、
外に出ても特に問題ないほど天候は良くなっていた。

俺は、なんというか……ふわふわとした気持ちになっていた。

感情的になった事からくる疲労感が原因だ。
この疲労感を考慮すると、やはりそう簡単に理論を手放すわけにもいかないようだ。
慣れない事をした結果、実質制御不能に陥ったのだから。

うん……本当にアレ泣くのは無い。
だけど、その結果によって以前より自分の気持ちにも素直になれていると思う。
今はまだ“特別”な存在にしか本心を打ち明ける事は出来ないが……
理論的な面と感情的な面。
どちらもそれは正しくて、どちらかだけが正しい訳では無いと今はそう考える事が出来る。
妙な疲労感はあるが柔軟に物事を捉える事が出来る。
さて、この場合の疲れは睡眠を取るべきなのか?
今回は理論に軍配を上げて、まだ眠らないと判断した。

改めて“本当に望んでいる事について”考えてみよう。
向き合わなくてはならなかった時に出たのは感情的な面での部分。
それなら以前に理論的な部分で望んでいた
“みんなを島から脱出させてあげる事”も確かに望んでいる事なのだろう。

“特別な人の傍に居たいこと”と“みんなを島から脱出させてあげること”の両立。

『島から出てもニシュの傍に居たくて、みんなで島から脱出したい』

やっと分かった。理論的な部分が自分をその中に含めようとしなかったのは
元の生活に戻ると思っていて、そこに彼女が居ないと感情的な部分が拒絶したからだ。
脱出後も彼女の傍に居たい。
本心を伝えたい。そこで彼女がそれを望んでいなかった時、
俺は確かに傷つくだろうが、それが本心を伝えると言う事だ。
だが、まずは脱出に関する事を進めるのが重要だ。
そもそも脱出が出来なければ俺の望みは叶わない。
……それにようやく到達すると、急に視界が広くなったような気がした。

どうやらそういった考え事をしている間に思っていたより時間が経っていたようだ。
俺は遅れを取り返すように脱出に関するモノづくりを再開した。


……あまりにも好調だった。
今までも手を抜いていたつもりは一切ないが、モチベーションの違いだろう。
結論から言うと大砲が2本と花火が1発出来上がった。
入手の難しい仕上げ用のきのみを難なく取って来てくれた葉山の功績は大きい。

完成品を倉庫に入れ、次は何を作ろうかと肩を回していた所、
ルーシーの子守歌が聞こえてきた。
どうやら赤子を寝かしつけようとしているみたいだ。
俺は気分転換も兼ねて、それが聞こえる程の位置に座りながら聞いていた。

そういえば感情的になった事で疲労感があった事を思い出した。
アドレナリンが出ていたのか、こうして座るまで気づかなかった。
だが、俺が眠る為には作業スペースに置いてある“贈り物の花”が必要だ。
俺が今ここで寝る事は無いだろう。
そう思っていた時に、別の歌声が聞こえてきた。


――ニシュだ。
俺は気が付いたら寝ていた。な、なぜ……