Eno.275 君影 早霧

6日目 拠点


私達は、帰れるかもしれない。

あいにくの曇り空で、打ち上げ花火を楽しめる天気ではない。
それでも、音と光救難信号はきっと届くと信じて。
島を出たい一心で、手探りで作り上げた花火玉を打ち上げた。

ビリビリと伝わる振動と響く音で耳が痛む。
こんなに大きな音なら、遠くの船までも届いてくれるだろうか。

同じものを観覧車から見上げた一夜が随分と遠いことのよう。
あの日常へ帰るために、これからも続けていくために。
もう少しだけ、出来る限りの全力で頑張ろう。

……無理はしない、という約束は違えない範囲で。