Eno.541 メヌエット

秘密

詩を書くのは何十年振りだろう
前に歌を詠んだのは相当昔のことだ
どちらも続けていたらきっと少しはましになったのに
長い時間をゆったり贅沢に使ってしまった 僕はいつもそう

島ごと沈む詩になんでも乗せて歌おう


本当は翼を持っている 形も色も大きさも思い出せないけど
尾もあるんだ どんな尾なのか思い出せない

なんでも食べられるよ 魂は味がしない
如何物は食べないよ 誰も見ていなければ喜んで貰うよ


一度だけ人間を飼っていたことがある あれは楽しかった
身体に入れてずっと大事にしていたら 魂がだんだん どろどろ 溶けてきて……

一緒の間は寂しさが紛れるけど 最後はやっぱり悲しい
なにかを飼うときってみんなそうなんだろうな


死そのものを見たことがあるんだ
悪魔じゃなくても見られるものらしい だって今覚えているからね
暗くて甘くて綺麗で冷たい ソルベに少し似ていた
生臭い死もあるらしい そっちは魚に似ているんだろう


シェーブルチーズ山羊乳のチーズ 羊より好きなんだ
狩猟が好きだから一通り動物は狩るけど 僕は山羊は殺さない
はず


酒をやめろって言われたことがある
やめない ずっと だって悪魔だからね!

悪魔をやめた方が良いのかって考えたことがある
でも悪魔じゃなくなったら 無限に酒を飲めないよね

だから形と心だけになっても悪魔はやめない
秘密は以上 おしまい!