Eno.76 リアムとフィン

7. 雨の夜

しくじった。
リアムは心配そうに見上げてくるフィンの視線を避けながら、ため息をついた。

フィン
「リアムくん…」

リアム
「このくらい、何ともねぇよ」


明かりは持っていたが、雨が降っている分、どうしても足場は悪くなってしまったらしい。
先を歩いていたリアムが「何か踏んだな」と思い、いつものように、負傷した箇所に口を開いて異物を吐き出そうとして──
いつもなら、好きなだけ増やせるパーツは不完全で、あくび一つする間に塞がる程度も治りが遅い。

再生力が抑制されているのは、こういう時に面倒だ、とリアムは思った。
もっとも、異能が抑制されたおかげで、本来は人間からかけ離れているリアムの体重も、
今は一般的な範疇に収まっていて、拠点の家具を使うのに不便がない、という利点もあるが。

とりあえず明かりを向けて、大した傷ではないのを確認したリアムは自然回復に任せることにしたが、
フィンはぴゃっと飛び上がった後、まるで大怪我をした相手を前にしたように慌て始めた。

リアム
「お前が飛び跳ねまくってどうすんだよ。転びてぇのか。
 はー、オレもこの島にいると治るの遅ぇし、無理せず戻るか」

フィン
「うん…! リアムくん、だいじょうぶ? だっこする?」

リアム
「誰が誰を抱き上げるつもりなんだお前……
 無理すんな。あとジャンプすんな。普通に歩いて帰るぞ」


帰り道は、来る時よりも気を付けて歩いた。