Eno.502 多比良 夜伴

【-どうでもよくない話・2-】

我は刀である。
名前はもうある。朧だ。

主は我が思考を持つ刀とは知りもしない。
言葉が交わせる訳では無いので当然だ。

しかし、意思は通っていると思う。

主がまだちいさな人間だった頃、母君いろはつくられた。
以来、我は今に至るまでずっと主と生活を共にしている。

主の手入れは丁寧だし、『相棒』とこちらに語りかけてくる声は柔らかい。
戦場でも任務でも日常生活でも基本的に我等はずっと時を同じくしている。
この不可思議な島とて共に在るのだから、主が死んでしまうか我が折れるまでずっと共に在るのだろう。

言葉や思いが交わせぬとて、我等には確かな絆があるのだから。


しかしまあ、この島に来てから数度『主と言葉を交わせたら…!』と思う事はあった。

それは今この瞬間にも通じるものだ。



主よ、我はきのみを割る為の道具ではない。

主よ、我はそのやたらと硬くて大きなきのみを割る為の道具ではない。

主よ、我でそのきのみを割る為にギコギコするのではな、主!

主!!!!!
あ"あ〜〜〜〜〜〜!!!!!!



*ギコギコ*