Eno.491 リケル

よかったね

救助船が来たみたい。
幽霊船でも海賊船でもなくて、ちゃんと俺たちを助ける気がある船だっていうのはすぐに分かった。
俺、耳が良いからね。

ボートとか作ってたけど、必要なかったみたい。
辰砂なんか船まで作っちゃってさ。
…流石に船はお土産にはできないか。



この島に来てからは、
いつもの連絡手段が全然機能しなかったし
筋力が落ちてて斧を使わないと伐採できなかったし
いつもより体も疲れやすくて
どうしてか自分の体じゃないみたいですごく不便だった。

でもさ、その代わりに得たものは大きかったんじゃないかな。
大陸に居ただけじゃ絶対にやらなかったことがたくさんあるから。

絶対に生まれなかった感情もね。



…やっと帰れるんだ。
今日で7日目。いよいよ海面が上がってきてる。
すごく長かったけど、でも、短かったようにも思う。

──俺たちの島。もうすぐ沈んで、全部なくなるんだ。

あーあ。


……1枚くらい、俺も写っておけばよかったかな。