Eno.682 何森究

ささやかな理由

俺たちは、互いにちぐはぐで、傷だらけで、歪だった。
秘した醜態を曝け出し、内面を分かち合った。
それによって、俺は呼吸の仕方を思い出し、深い眠りを取り戻した。

他の誰かが、何かが、劣っていた訳じゃない。
もっともらしい理屈なんて、ない。

たまたま、波長が合ったに過ぎないんだから。



「──それで、終わったら。
話が終わったら、またわたしのところに来て。
何森くんに、聞いて貰いたいお話が、あります」


その求めに応じた俺の誘いに、返答はなかった。
構わない。誰に促されるまでもなく、彼女自身がそうと決めたのなら。



自分が選ばれないことならば、どれほどだって慣れていたのにな。